JP EN

各センター・拠点・部門紹介

共同利用・共同研究拠点 Joint Usage / Research Center

火災安全科学研究拠点

概要

拠点長

松山 賢教授

MATSUYAMA Ken

所属
創域理工学研究科 国際火災科学専攻
RIDAI

コメント

本拠点は、火災被害損失の低減や火災の潜在リスクの抑制に資することを目的として、国内の知を集約させる役割を本拠点で担うことで、効率的かつ効果的な成果が期待されると同時に、多分野横断型の火災科学“ 理論” と大型実験施設による“ 実践” 的対応を中心とした多くの研究が実施されています。

研究内容

共同利用・共同研究拠点として学外の研究者と先端的な共同研究を行っています。

研究目的

本拠点では、火災安全に関する研究・教育を推進するとともに、共同研究及び共同利用に供し、我が国の火災安全研究・教育、次世代を担う学生・研究者の科学教育・研究の推進に寄与することを目的としている。

今後の展開

世界の火災科学分野における教育・研究機関の拠点形成に向けて、ネットワーク化・人材育成の機能を高め、拠点活動を更に強化していきたい。

関連するSDGs

メンバー

氏名 職名 所属
松山 賢 拠点長・教授 創域理工学研究科国際火災科学専攻

研究詳細

「火災安全科学研究拠点」は、2009 年に文部科学省より共同利用・共同研究拠点として認定され、学内外の研究者と協力し実施する共同研究を行っています。本拠点では、東京理科大学における火災安全に関する研究・教育を推進するとともに、全国の大学等との共同研究及び共同利用に供し、その成果を公開することにより、我が国の火災安全研究・教育、次世代を担う学生・研究者の科学教育・研究の推進に寄与することを目的としています。国内の知を集約させる役割を本拠点で担うことで、効率的かつ効果的な成果が期待されると同時に、多分野横断型の火災科学“理論”と大型実験施設による“実践”的対応を中心とした研究が実施され、火災被害損失の低減に大きく寄与することが期待されます。本拠点では主に、最新の技術により実現される都市空間において増大する火災リスクの抑制に資することを目的とした研究を国内外から広く公募します。

公募に関するスケジュール

公募は、原則として年1回とし、研究開始は年度初めとしています。ただし、必要に応じて緊急を要するような研究課題については、随時公募型として年度の途中から申請をすることも可能です。申請に関するおおよそのスケジュールは次の通りです。
・テーマ掲示開始時期: 2月中旬
・申 請 期 間: 2月中旬~3月中旬
・採択結果通知 : 4月上旬
・共同研究開始 : 4月~翌3月
・成果概要の提出: 翌年4月中旬

公募研究テーマ(採択例)

 以下に示す重点研究課題A、大規模実験研究課題B、一般研究課題C~Hを公募しています。

[重点研究課題]
A:異常事象の発生予測に関する研究
内容:火災において、状態が急激に変化する事象(ここでは異常事象と呼びます)が生じて被害が急拡大することがあります。例として、着火現象、燻焼から有炎燃焼への遷移、フラッシュオーバー、バックドラフトなどが挙げられます。これらの異常事象が発生する前に予兆を検知できれば、火災被害の抑制や消防活動のリスク低下につながることが期待されます。2025年度は、幅広い観点から異常事象の発生予測に資する研究を募集します。
[大規模実験研究課題]
B.建築物の構造耐火性等に関する実験的研究 (※)
[一般研究課題]
C.建築火災安全に関する基礎的研究
D.材料燃焼科学に関する基礎的研究
E.消防防災に関する基礎的研究
F.大規模火災に関する基礎的研究
G.火災安全・リスク評価に関する基礎的な研究
H.その他 (火災の科学および技術の発展に資する研究)

(※) 大型壁炉、多目的水平載荷加熱試験装置を使用する等の大規模実験を伴う課題

運営体制および評価の方法

拠点の中心となる運営委員会は、委員長を中心に、10名の委員(学内5名、学外5名 )により構成されています。運営委員会は、研究及び業務の基本方針、管理運営の基本方針(予算の原案作成等を含む)、公募研究テーマ等の事業計画等々、本拠点に関する事項の最高意志決定を行う場となります。

運営委員会の傘下に公募課題選定委員会、および2つの専門委員会(WG)を設けることで、円滑な運営を図っています。公募課題選定委員会および各専門委員会の役割は下記の通りです。

公募課題選定委員会

公募された研究テーマに対し、申請課題の採否を検討する委員会。申請に対して、研究目的の明確さ、研究計画および研究方法の妥当性、申請予算の妥当性、研究の成果の見通しと発展性などを考慮して採択・不採択の審議を行います。

設備・機器管理専門委員会(WG)

主に実大実験棟の利用計画の管理を行います。その他、施設内の設備・機器の維持管理も行い、さらに、利用者に対して設備・機器の使用方法等の講習会や安全管理講習なども行います。

研究テーマ策定専門委員会(WG)

共同利用・共同研究として相応しく、かつ本拠点の目的や社会のニーズに見合った研究テーマを策定すべくテーマ・計画の立案を行います。

評価委員会

共同研究の遂行状況や成果に関して中間・事後評価を行うことで、研究の方向性も含めたチェック機関としています。

今後の発展に向けた整備推進

国際化・ネットワーク化・人材育成の機能を高め、拠点活動を更に強化すべく、次の事業を展開しています。

・様々な産業界のニーズに応える共同研究の実施

・情報発信力の強化による広報活動及び人材育成への貢献

使用可能施設・装置の例

■コーンカロリーメータ試験装置(ISO5660)

熱放射のある場での建築材料の着火性や発熱性を調べるための装置で、円錐形の電気ヒーターの下に試験体を置き、ヒーターから熱放射を加えつつ試験体表面上10㎜のところにパイロット炎を当てます。熱放射は0~50kW/㎡までの範囲に設定でき、それぞれの熱放射での着火時間・発熱量を測定します。

■FTIR ガス分析装置(ISO19702)

燃焼性・発煙性試験装置に接続して、燃焼ガス分析を高速連続測定が可能なように開発されたものです。短時間間隔(5 ~ 10 秒)での測定値を更新することが可能となっており、測定対象ガスを火災燃焼発生特有のガス種に特化しています。

■ICAL 試験装置(放射パネル)

本装置は、一定の熱流束を放射熱伝達で与えた状態において、可燃物の燃焼挙動を把握する装置です。放射加熱を受ける部材の熱的挙動を調べることもできます。パネルヒーター部は、幅1.75m×高さ1.38m の加熱面積を有し、表面温度を950℃に上昇させることにより、50kW/ ㎡の熱流束を可燃物に与えることができます。

■燃焼熱量測定用フード(5×5m)

室内の家具・備品等を燃焼させ、その燃焼ガスを捕集・分析し、燃焼特性を解析する設備です。ダクト内に燃焼ガスの流量測定およびサンプリング装置を装備しています。設計上の測定発熱量は最大2MW を想定しており、最大600 ㎥ /min の吸煙量を設定できます。また、移動型4×4m も有しています。

■火災実験用実大区画(散水設備対応)

幅6m× 奥行き6m× 高さ2.7m の室内を模擬した実規模火災区画であり、天井部にはスプリンクラー等の散水設備を設置することが可能です。主に、散水設備の消火性能実験に用いられる他、最近では散水設備を作動時の煙流動性状の実験が行われています。

■ルームコーナー試験装置(ISO9705)

幅2.4m× 奥行き3.6m× 高さ2.4m( 約6 畳) の空間に、幅0.8m× 高さ2m の開口を設けた装置であり、室内に家具や壁紙等を配して初期火災から盛期火災を再現することが可能です。また室内全体が短時間で火炎に包まれるフラッシュオーバー現象も再現可能で、その時の燃焼ガス濃度、温度分布、室内映像も測定できます。

■中型複合炉

耐火性能を試験評価する設備であり、柱・梁・床・壁等のあらゆる構造部材に対応できます。ISO834 に定められた標準加熱温度および炉内圧力を制御できる加熱設備です。加熱炉サイズは幅・奥行き・高さ1.5m となっており、また急加熱も可能です。

■大型壁炉

建築の外壁材の火災における耐火性能を試験評価する設備であり、ISO834に定められた標準加熱温度および炉内圧力が制御できる加熱設備です。壁面に20台のバーナーを配置して、加熱サイズは3.5×3.5mまで可能です。載荷加熱試験も可能です。

■多目的水平載荷加熱試験装置

加熱と載荷の両機能を一体化することで、試験体対象部材に外部加力を与えながら耐火試験を行うことが可能な装置です。建築物の水平部材「梁、床、屋根」および垂直部材「柱、壁」など、建築物のあらゆる構造部材について、ISO834 で提案されている試験体サイズに対し、規定の標準加熱温度曲線による耐火性能試験・評価に対応可能な設備です。