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各センター・拠点・部門紹介

研究部門 Research Divisions

サステナブル技術社会実装研究部門

概要

部門長

小林 宏教授

KOBAYASHI Hiroshi

所属
工学部 機械工学科
RIDAI

コメント

研究をして論文を書くことは、極論で言うと1個人で閉じることができます。類似分野のその個人研究者が集まって議論を交わし、その分野でシナジーを発揮し、研究を加速することは一つの方法論だと思います。一方、エンジニアリングには、必ず研究者以外の使う人、評価する人、作る人、売る人、市場調査する人がいて、個人、同質の研究者集団に閉じることはできません。ある目的のために、分析やシミュレーションだけでなく、きちんと動くものを作ること、それを使ってもらえるようにすること、それを量産することなどは、論文とは異質の高いハードルがあり、そこまで大学でやる必要はないという考え方もあります。しかし、大学だからできる、大学でないとできないこともあるはずで、それは往々にして新しいものであるはずだと思います。本部門では、そこを追求していきたいとと考えています。

研究内容

持続社会を実現する大学発技術を製品に

研究目的

持続社会を実現するための具体的なソリューションを、物を作ることで提供することを目的としている

今後の展開

1つの重要案件として、現在、5年総額55億円のNEDO「高度循環型システム構築に向けた廃電気・電子機器処理プロセス基盤技術開発」(https://www.nedo.go.jp/koubo/EV2_100263.html)の一分野として応募しており、部門のメンバーが中心となって装置の開発を進めていく。この中で、新規知財も発生していくと思われる。また、目的であるベンチャー創出は、現在1社が創業の準備を進めている。合わせて特許も準備をしている。代表者が創業した大学発ベンチャーからは、5月(図2)、6月と、すでに新製品を2つ上市している。今後も、進捗や協業の様子をみながら、実用化、創業を推進していく。

関連するSDGs

メンバー

氏名 職名 所属
小林 宏 部門長・教授 工学部機械工学科
和田 正義 教授 工学部電気工学科
松本 吉央 教授 先進工学部機能デザイン工学科
森 武俊 教授 先進工学部機能デザイン工学科
吉田 英一 教授 先進工学部機能デザイン工学科
牛島 邦晴 教授 工学部機械工学科
竹村 裕 教授 創域理工学部機械航空宇宙工学科
林 隆三 准教授 工学部機械工学科
保原 浩明 准教授 先進工学部機能デザイン工学科
橋本 卓弥 准教授 工学部機械工学科
荒井 翔悟 准教授 創域理工学部機械航空宇宙工学科
早川 智彦 准教授 総合研究院
宮下 令央 准教授 総合研究院
黄 守仁 講師 総合研究院
松本 賢太 助教 工学部機械工学科
永野 健太 助教 工学部電気工学科
姜 琇仁 助教 先進工学部機能デザイン工学科
佐々木 智也 助教 先進工学部機能デザイン工学科
湯口 彰重 助教 先進工学部機能デザイン工学科
田畑 智志 助教 総合研究院
来栖 宏二 客員研究員  
松元 秀次 客員教授  
飯田 史也 客員教授  

研究詳細

持続社会を実現する大学発技術を製品に

研究内容

本部門は、実用性と具現化を強く意識し、論文に留まらず、新しい市場を切り開く新価値を生み出す技術の製品化を目指す。そのため、下の表に示すように、分担者が持つ要素技術を組み合わせ、外部機関(外部機関参加者は下線)と積極的に連携し、出口としての具体的なアプリケーションを意識した協業的研究開発を行っていく。現時点での外部機関は数機関に留まるが、進捗に合わせて随時参画いただき、形だけでない連携を強め、製品化やベンチャー創業なども行い、大学発の新技術の積極的な社会展開を行っていく。

素早く世界に広がるITや材料・デバイスに比べると、「物」として、特に日常生活に直接関わる技術の統合システムとしての「製品」化はリスクが高く、コストパフォーマンスも極めて悪い。そのため一般的には敬遠されがちであるが、大学は社会の公器であるので、「物」という形で社会へ新しいソリューションを提案していく。

下の表1は構成員の専門分類と、それらを組み合わせたアプリケーションの具体項目であるが、本部門の一つの核となる「医療福祉」について、具体例と役割を述べる。この分野は主に①動作解析/センシング(表中の画像/計測,解析)、②動作補助/創出装置(表中の機構・デバイス,制御)、③車両(図1)、④実地検証/評価に分類できる。例えば①では、A.精密な歩行動作解析装置やB.嚥下センサ、②ではC.アシスト装置や義手・義足、③ではD. 直観性の良い操縦インタフェースと全方向移動車両装置などの具体的な成果物を、それぞれの知見を結集して創出していく。

表1 保有技術とアプリケーション
図1 電動車いすのまま乗り込むことができる車両
図2 2023.6上市の新モデルExo-Power と 2019.11上市の旧モデルマッスルスーツEvery

研究目的

本部門は、持続社会を実現するための具体的なソリューションを、物を作ることで提供することを目的としている。そのため、各研究者の英知を結集し、医療福祉、農業、土木・生産・工業、資源・エネルギーの各分野において、それぞれ実際に使えるこれまでにない試作機、その実証検証、耐久試験、さらには、製品化・上市を行い、新規市場を切り開いていく礎とする。

エンジニアリングの本懐は「役に立つ物を作ること」である。国力が低下し、企業に余力がない現在の日本において、大学が中心となって、特に「テック系」と呼ばれる物づくりで、これまでにない物を世に送りだすことは、社会的貢献だけでなく、本学の特色にもできる。

実用性、実用化を重視し、期間内には、最低年1件として3製品の上市、年3件の特許出願、年1社のベンチャー企業創出を目指し、以降の発展につなげる。