持続社会を実現する大学発技術を製品に
研究内容
本部門は、実用性と具現化を強く意識し、論文に留まらず、新しい市場を切り開く新価値を生み出す技術の製品化を目指す。そのため、下の表に示すように、分担者が持つ要素技術を組み合わせ、外部機関(外部機関参加者は下線)と積極的に連携し、出口としての具体的なアプリケーションを意識した協業的研究開発を行っていく。現時点での外部機関は数機関に留まるが、進捗に合わせて随時参画いただき、形だけでない連携を強め、製品化やベンチャー創業なども行い、大学発の新技術の積極的な社会展開を行っていく。
素早く世界に広がるITや材料・デバイスに比べると、「物」として、特に日常生活に直接関わる技術の統合システムとしての「製品」化はリスクが高く、コストパフォーマンスも極めて悪い。そのため一般的には敬遠されがちであるが、大学は社会の公器であるので、「物」という形で社会へ新しいソリューションを提案していく。
下の表1は構成員の専門分類と、それらを組み合わせたアプリケーションの具体項目であるが、本部門の一つの核となる「医療福祉」について、具体例と役割を述べる。この分野は主に①動作解析/センシング(表中の画像/計測,解析)、②動作補助/創出装置(表中の機構・デバイス,制御)、③車両(図1)、④実地検証/評価に分類できる。例えば①では、A.精密な歩行動作解析装置やB.嚥下センサ、②ではC.アシスト装置や義手・義足、③ではD. 直観性の良い操縦インタフェースと全方向移動車両装置などの具体的な成果物を、それぞれの知見を結集して創出していく。
研究目的
本部門は、持続社会を実現するための具体的なソリューションを、物を作ることで提供することを目的としている。そのため、各研究者の英知を結集し、医療福祉、農業、土木・生産・工業、資源・エネルギーの各分野において、それぞれ実際に使えるこれまでにない試作機、その実証検証、耐久試験、さらには、製品化・上市を行い、新規市場を切り開いていく礎とする。
エンジニアリングの本懐は「役に立つ物を作ること」である。国力が低下し、企業に余力がない現在の日本において、大学が中心となって、特に「テック系」と呼ばれる物づくりで、これまでにない物を世に送りだすことは、社会的貢献だけでなく、本学の特色にもできる。
実用性、実用化を重視し、期間内には、最低年1件として3製品の上市、年3件の特許出願、年1社のベンチャー企業創出を目指し、以降の発展につなげる。