産学連携を念頭に先進的な複合材料とその構造においてCAEを利用した工学研究を遂行する
先進複合材料・構造CAE 研究部門では、分子軌道法や分子動力学法による分子レベルでの材料開発や有限要素法、粒子法を用いた破壊シミュレーションから実構造物の設計・成形シミュレーション・破壊解析を通じてCAE を効率的に活用した工学研究を実施し、強固な産学連携の確立を狙う。本研究部門の構成員は、下図のように材料・構造を幅広く網羅できるので、産業のニーズへの適合性を高めることが可能である。すなわち部門が委託・共同研究の大きな受け皿となる。これら研究等を通して育った即戦力CAE 技術者を産業に大量輩出し、卒業生が躍進することで、国内における東京理科大学のブランド力を高める。
CFRP はこれまで主に航空宇宙分野に用いられてきたが、近年では自動車産業がCFRP を大幅に取り入れようとしている。本研究部門はこれに対して産業で発生している問題(ニーズ)を解決する工学的な研究部門である。具体的にはCFRP を自動車産業へ大幅に普及させるためには、CFRP の①成形性、②衝撃特性、③ CFRP 独自の設計の3 点の改善が少なくとも求められる。
①は高品質を担保したまま1 分でCFRP 部品を成形できること
②は衝撃吸収エネルギーを現在の2 倍にすること
③は現在金属が用いられている部品にCFRP を代替するのではなく、その成形性や特性を加味したCFRP 特有の自動車部品の新しい設計をすること
をそれぞれ改善要素の目標としたい。
一方で、近年のコンピュータの性能の向上に伴い、数値解析が極めて身近なツールになりつつある。いわゆるCAE を利用することで、実験コストを大幅に削減し、開発スピードを高める手法が近年では常套手段となりつつある。本研究部門では上記の改善要素を含む様々な研究テーマに対してCAE 技術を駆使して解決していく。これらの産業のニーズに即応する工学研究を卒業論文、修士論文、博士論文研究として実施することで、即戦力として社会で活躍できる学生を育てるところに最大の特色を有する。また訓練された有能なOB が産業で活躍し、その卒業生経由で東京理科大が産業からの受託研究を得るというシナジー関係を近い将来に構築することを狙う。産学の強固な連携に基づいて、教育・研究活動を行うところが本研究部門の大きな特徴である。