環境変動社会におかえる学術領域と技術シーズのシナジー効果を生み出す生物環境研究
概要
生物の環境適応、相互作用、分子進化、共進化、生態発生の分野で活躍する研究者が、「環境適応分野」「分子進化分野」「自然共生分野」の3つのサブグループを形成し、従来の環境生物学、進化学、生態学の概念や垣根を壊した学術研究分野の創出と、待った無しの地球規模での環境変化の中で人類の存続に資する新しい技術シーズを構築することを目指す。
各グループにおける目標および研究体制
環境適応分野
生命の環境応答センシングのための作用機序を紐解き、環境ストレス適応型栽培技術等の新技術を開発する。
・生命の共進化と多様性を育む作用機序の解明
・環境ストレス耐性、生物間相互作用に優れた有用植物品種の開発ならびに、減農薬に資する免疫促進剤やコンパニオンプランツ等を活用した次世代型有機栽培技術の開発
メンバー:有村源一郎、朽津和幸、西浜竜一、太田尚孝、高橋史憲、上村卓矢、友井拓実、松永幸大(東京大)、坂本卓也(神奈川大)
図1 生物の環境センサー機構の解明と応用
分子進化分野
生命の適応・多様化を可能にするためのゲノム進化やセントラルドグマの作用機序を、従来見過ごされてきた進化の観点から解析し、これまでの常識に捕われない新しい生命システム技術の開発を目指す。
・地球生命のタンパク質合成システムの最小構成要素と作用機序の解明とその利用
・RNAテクノロジーを基盤とした新しい生命システム技術の開発
メンバー:田村浩二、古屋俊樹、白石充典、櫻井雅之、中嶋宇史、岡田憲典(東京大)、相馬亜希子(千葉大)
図2 生命の進化過程の解明と新しい生命システム技術への応用
自然共生分野
生態系及び生物多様性の保全とそれに資する科学的知見を集積し、化学物質等の生物へのリスク評価や大気・水・土壌等の環境管理・改善のための技術を開発する。
・生物の次世代生産に影響する環境要因と作用機序の解明
・大気中分子や環境化学物質の分析手法と生物への影響評価手法の開発
メンバー:宮川信一、佐竹信一、秋山好嗣、住野豊、斉藤拓也(国立環境研)
図3 自然共生に向けた応用技術開発の研究ストラテジー