宇宙が、地球を教えてくれる~宇宙へのアクセスと滞在技術の高度化と社会実装~
センター設立の背景
近年、人類の宇宙進出は加速度的に拡大しつつあります。宇宙システムは総合的なシステムなので、その実現に対しては航空宇宙工学のみならず、基礎から応用まで広範な分野の科学技術の結集が必要になります。また、一方において、宇宙という閉鎖環境での循環型居住の実現に代表されるように、人類の宇宙進出において必要とされる技術は、サステナブルな発展や、リサイクル社会の実現と言った、地上における諸問題の解決と非常に強く関係しています。
センターについて
東京理科大学の宇宙開発と宇宙環境利用に関する研究・教育活動を結集し、基礎研究から宇宙へのアクセス手段までを網羅する多様な技術課題に対して総合的に取り組むことのできる研究センターを2021年4月1日に創設しました。
具体的には以下に示す目標を掲げて、宇宙と地上に共通する様々な課題を解決するために、地上⇔宇宙の好循環サイクルの形成により分野横断的な技術・人材を結集できる共創の場の構築を目指します。
・本学が得意とする光触媒技術を活用し、宇宙での生命維持技術の開発と地上における安全・快適な生活環境の実現を目指します。
・開発中のサブオービタルスペースプレーンや国際宇宙ステーションを用いた宇宙での技術実証に取り組み、産業界との協力により新たな「宇宙」マーケットを開拓します。
・これまで宇宙滞在技術の研究開発を行ってきたスペース・コロニー研究センターの主軸を、「地上−宇宙のDual開発とそれらを橋渡しする宇宙機開発」へと移すことで、さらなる戦略的発展を目指します。
・これらの宇宙とつながった研究機会にもとづく教育の場を提供し、博士や若手研究者の人材確保・育成や、「本物」の研究体験を行える環境を構築していきます。
プロジェクトへの取り組み
センターにおける研究体制
教育ユニット ~宇宙での実利用につながる「本物」の技術・経験を活用した教育~
フライトミッションやロケット打ち上げ、宇宙物理学の理論研究や天体観測など、東京理科大学の技術・研究を教育に活用することは、研究者、学生の双方にとって大きなインセンティブとなります。数多くのミッションに参画していただくだけでなく、国内外の宇宙開発機関やスペースベンチャー企業、宇宙開発企業等とも強固に連携し、得られた成果を積極的に教育へ活用していきます。
光触媒国際ユニット ~光触媒を基軸に、資源・環境問題解決~
酸化チタンに代表される光触媒は、その強い酸化分解力から、有機汚染物質の分解や抗菌・殺菌に効果を発揮します。また、光触媒を用いた人工光合成(水分解による水素生成・二酸化炭素還元による有価物生成)に関する研究も精力的になされています。これらの研究を推し進め、我々が地球上で既に直面しており、宇宙進出の際にも克服すべき課題となる環境浄化やエネルギー製造といった課題に取り組みます。
スペース・コロニーユニット ~宇宙居住を中心とした、宇宙滞在技術の高度化と社会実装の促進~
これまで宇宙と直接関係を持たなかった衣・食・住に関する様々な技術や、電力・通信といった閉鎖領域におけるインフラ構築技術を、分野を跨いで横断的に研究開発を行います。また、その宇宙滞在技術すなわち、極限的な閉鎖環境において人間が長期滞在する技術を、企業や研究機関と応用展開について連携し、人類の共通課題である地上の災害や食料問題などの社会の課題を解決することを目指します。
スペースプレーンユニット ~誰もが自由に宇宙に往き来が出来るスペースプレーンの実現~
スペースプレーンユニットでは、「宇宙が、みんなのものになる。」をスローガンに、飛行機に乗るように誰もが自由に宇宙を往き来が出来る未来のスペースプレーンの実現に必要なシステム最適化技術、故障許容システム、LOX/LNGエンジンの運用、自律航行技術、複合材製機体及び推進薬タンク、商業宇宙輸送の法制化等のシステムインテグレーションの研究開発を行います。