Tokyo University of Science 本プロジェクトでは、環境配慮建築(図 1)の社会実装に向け、これまで研究開発が進んでいなかった非構造部材の CO2 排出量をライフステージも考慮して評価・可視化するシステムの構築に取り組むとともに、外装材、内装材、開口部材、下地材などを対象に製造・施工時の CO2 排出削減に寄与する高機能材料・工法の研究開発を推進します。 2022 年度にスタートした本プロジェクトでは、4 つの WG に分かれ材料・構法の開発を進めると同時に、これらをまとめて WG0 においてそれら知見を統合した環境負荷評価を実施している。その成果の一部をここに紹介します。(1) 再生アルミサッシュを用いた新たなカーテンウォールの開発 WG3 では、高瀬講師らを中心に、木・再生アルミ複合フレームと Low-E トリプルガラスを組み合わせた高熱性能を有するカーテンウォール (CW)(図2)を開発しています。CW の検討では低炭素化のために高断熱 / 遮熱化、再生アルミの使用、木材活用の 3 つを要点とし、エンボディードカーボン算定ツールと熱負荷シミュレーションを用いて LCCO2 の観点から包括的に性能評価を行いました。その結果、例えば部材ごとの Embodied Carbon(図 3)を分40析すると、再生アルミを 70%使用した木・アルミ複合 CW では、CO2 排出を 39%まで抑えることができているうえに、アルミ CW からの CO2 削減率は 34% と相当の効果を得られることが明らかとなりました。(2) テクスチュアプリンティング 一方、WG1 では、兼松教授らを中心に任意のテクスチュアの印刷を可能とする、テクスチュアプリンティング技術の実現を目指しています。例えば、コンクリート表面に対する全く新しい仕上技術として、UV プリンタを用いて自由なテクスチュアや色彩を再現する技術の開発や、釉薬を施す方法の開発を行っている。これらテクスチュアプリンティング技術の組み合わせにより、図4 に示すような任意のテクスチュアの実現に成功するとともに、これら技術のLCCO2 における優位性を示しました。(3) フェーズ 2 に向けて 第 2 フェーズでは第 1 フェーズまでに得られた知見および技術シードを基に 5 つの WG に再構成し、環境配慮建築としての評価方法の確立を目指すとともに、より一層の社会実装を指向した研究開発を進めます。図4 開発したプリント技術により実現した様々なテクスチュア図3 製造段階における CW の部材別 CO2 排出量内訳図1 環境配慮建築のイメージ図2 木・再生アルミ複合 CW の断面図CO2 排出削減に寄与する高機能材料・工法の研究開発による環境配慮建築の実現みどりの機能建材研究開発プラットフォーム
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