2024-2025_総合研究院パンフレット(和文)
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2023年8月に設立されたマルチハザード都市防災研究拠点では、客員教授を含む30名超の構成と2名のURAの体制で活発な研究活動を始めている(図1)。石垣綾教授は、マルチハザードによる都市防災において、情報や資源が不足する中で迅速に意思決定を行うことが難しいことを踏まえ、発災前後に入手可能な情報を分析・活用することで意思決定者を支援する行うことを目指し、早期避難実現のための交通流制御や災害物資輸送などに関する研究を行っている。伊藤拓海教授は、マルチハザードによる都市・建物の状況を、発災前・発災時・発災後の時系列でとらえ、横断的な防災・減災・避災の研究を進め、日本各地の地形的特徴をモデル化し、ハザードを整理・検討している。IoTとドローンによる災害モニタリング手法を開発し、社会実装の準備を進めている。被災都市の状況を考慮した復旧プロセスの最適化シミュレーションを進めている。松澤智史准教授は、災害直後の危険な現場に自律型ドローンを派遣し、ドローンによる被災地の撮影や通信インフラ提供に関する研究を行うと共に、また撮影画像を3D化して建物の倒壊状況等を把握し、専門家による方策策定の支援や被災者の避難経路の確認などに活用する。最後に永野研・劉虹助教は、都市型マルチハザードの防災・減災に関する課題を明らかにし、工学的な多分野の視点を取り入れた防災計画や避難確保計画を議論し、提示することを目指す。この研究では、多分野の研究者が実災害(例えば2024年の能登地震)を対象に現地調査を行い、地震による建築物被害、沿岸部地域の津波被害、火災による地域被害、緊急物資の配送状況、被災者特に災害弱者の避難状況、さらに被災者に対する環境衛生的および精神衛生的な住環境・社会環境などの視点からの検討を進めている。図1 マルチハザード研究の最前線(A)マルチハザード都市防災のための意思決定サポートシステムの開発(石垣研)(B)マルチハザードに対する損傷評価法・被災モニタリング・復旧プロセスに関する研究(伊藤拓研)(C)被災状況把握に関する研究(松澤研)(D)2024年能登半島地震からの教訓を生かした都市型マルチハザードの防災・減災に関する課題(永野研)36分野間連携によるマルチハザード研究の最前線

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