2024-2025_総合研究院パンフレット(和文)
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(3)ミトコンドリアグループ(樋上 賀一、野崎 優香、小林 正樹、柳 茂) ミトコンドリアは細胞内のエネルギー工場ですが、ストレスや生活習慣の乱れなどの後天的な要因はミトコンドリアの機能を低下させます。機能が低下したミトコンドリアは活性酸素を産生し、酸化ストレスを誘導することにより老化を促進するため、ミトコンドリアの品質管理と機能維持は老化抑制において重要な課題です。そこで、ミトコンドリアグループでは、ミトコンドリアタンパク質の恒常性維持機構に着目し、ミトコンドリアの品質維持や賦活化による老化抑制法の開発を目指します。(4)免疫グループ(伊川友活、吉村昭彦、波江野洋、佐伯 晃一) 免疫系の老化により、全身における慢性炎症や老化細胞の蓄積が生じ、全身の老化が促進されることが近年、明らかになってきています。ストレスや環境などの後天的な要因が免疫老化に関わることが示唆されていますが、免疫老化を制御する機構には不明点が多く残されています。そのため、免疫グループでは、免疫老化のメカニズムの解明とそれを標的とした免疫老化を制御する方法の開発を目指します。さらに、合成生物学的アプローチにより老化細胞排除能を高めた免疫細胞を作成し、その細胞を用いた老化細胞除去による老化抑制法の開発も目指します。(1)脂質・水溶性代謝物グループ(中村由和、東恭平、金丸佳織、米野雅大、水之江雄平、佐々木敦朗、佐々木雄彦) 老化の特徴を示すAginghallmarksには核酸やタンパク質に関わる特徴が含まれています。しかしながら、核酸やタンパク質と同じく細胞の主要な構成成分であるにも関わらず、脂質や糖に関わる特徴は含まれていません。そこで、脂質・水溶性代謝物グループでは、脂質やその代謝系が老化を特徴付ける新たな要素となることを示し、脂質を標的とした新たな老化介入方法の開発を目指します。さらに糖やポリアミン類などの水溶性代謝物による老化制御にも着目した研究を進めます。(2)エピゲノムグループ(前澤創、早野元詞) 環境やストレスなど様々な外的な要因に応じてエピゲノムに変化が生じますが、最近になりエピゲノムの変化が老化制御に関わることが明らかにされてきています。そのため、エピゲノムグループでは、老化制御に関わるエピゲノム修飾を特定し、それを標的とした老化介入方法の開発を目指します。DivisionofAgingBiology 老化には環境やストレス、生活習慣などの外的要因が深く関わっており、老化は後天的に制御される現象であると考えられます。そこで、本部門では外的な要因によりダイナミックな変容を示す脂質や水溶性代謝物、エピゲノム、ミトコンドリア機能、免疫機能に着目し、老化の本質や基本原理を解明し、老化に対する予防方法や介入方法の開発に繋がる知見を得ることを目指します。この目的達成のために必要な研究分野は多岐に渡るため、本部門では創域理工学部、薬学部、生命医科学研究所に所属する各分野の優れた学内研究者と、各分野の第一線で活躍する学外の研究者が集結し、理科大ならではのアプローチにより老化研究を強力に推進します。 本研究部門では、以下の4つのグループ間や、多様な分野の専門家間の緊密な連携により、老化の分子メカニズムの解明と老化の制御を目指した研究を推進します。目的今後の展開設立2024年4月環境、ストレス、生活習慣などの外的な要因により変化する各種代謝物、エピゲノム、ミトコンドリア機能、免疫機能に着目し、老化制御の分子機構を解明することを目指します老化という生命現象の深い理解に立脚した老化の予防・抑制・逆転法の開発を目指しますynakamur@rs.tus.ac.jp これらのグループに加え、骨(早田匡芳、和田直之、小原幸弘)、脳神経(古市貞一)、気管(政池知子)、腫瘍(昆俊亮、定家真人、滝川雅大)、霊長類老化モデル(RafaeldeCabo)の優れた研究者も含め、多角的に部門の研究を推進します。研究部門長 創域理工学部生命生物科学科 教授YoshikazuNakamura19本研究部門では、老化研究に関心を持つ学内外の優れた研究者の間の有機的な連携により、理科大独自の視点からの老化研究を推進することを目指します。免疫細胞変化脂質・⽔溶性代謝物変化エピゲノム変化ミトコンドリア機能低下分⼦メカニズムの解明⽼化予防・介⼊⽅法の開発⾻、脳、気管の機能低下、腫瘍形成老化の仕組みを解明し、老化の克服を目指す研究中村 由和 概要 本研究部門の研究体制⽼化⽣物学研究部⾨老化生物学研究部門

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