2023-2024_総合研究院パンフレット(和文)
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 総合研究院は、1981年設立の総合研究所を前身とし、総合研究機構を経て2015年に設立された研究推進機構の下に位置する横断的研究組織です。大学の3つの柱である教育、研究と社会貢献は相乗的な関係にあり、総合研究院で実施されている多くの先端的な融合研究は、俯瞰的視野を持つ学生の育成や社会価値の創造に大きな役割を果たしています。 2023年9月現在、総合研究院では1研究所、3研究センター、1共同利用・共同研究拠点、2研究拠点、19研究部門、2共創プロジェクトが活動しています。各活動では、学問分野の基礎についての徹底した理解を踏まえた上で、分野間の実質的連携を追求し、学内外、国内外の壁を取り払って積極的な研究を実施しています。特に、環境問題やエネルギー問題を意識した研究を、国際連合が2015年にSDGs(持続可能な開発目標)を定める以前から推進しています。 2021年度から現在までに3つの研究センター、2つの研究拠点、2つの共創プロジェクトが始動しました。以下に紹介いたします。 「ウォーターフロンティア研究センター」は、2016年文部科学省ブランディング事業により設立された「ウォーターフロンティアサイエンス&テクノロジー研究センター(WFST)」の後継組織で2021年度発に発足しました。物質表面における水の振る舞い「水界面」に関する最先端研究の推進と、産業界が抱える課題を共に考え、ソリューションを提供するワンストップサービスを実施する研究拠点を形成しています。 「スペースシステム創造研究センター」は、「光触媒国際研究センター(2013年設置)」と「スペース・コロニー研究センター(2017年設置)」を発展改組して2021年度に発足し、国際的に活躍できる次世代宇宙科学技術者の人的基盤の裾野拡大と構築、光触媒を基軸として「地上⇔宇宙の好循環サイクルの形成」を行う水・空気・食糧・エネルギーなど宇宙居住で必要となる技術の開発、極限的な閉鎖環境において人間が長期間滞在するために必要な技術の研究開発、未来のスペースプレーンの実現に必要な科学技術や商業宇宙輸送の法制化等のシステムインテグレーションの研究開発を行っています。2022年度に【地上-宇宙デュアル開発型 近未来都市機能研究拠点】が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」育成型(共創分野)のプロジェクトとして採択されました。 「創薬研究開発センター」は2022年度まで活動していた「実践的有機合成を基盤としたケミカルバイオロジー研究部門」の研究を、分子生物学領域の研究者との連携で発展させる目的で2023年度に発足しました。独創的な有機合成技術で開発された東京理科大学発の新規物質を軸に創薬研究を展開し、医薬品の創出を目指しています。 「カーボンバリュー研究拠点」は、本学の教員のサイエンステクノロジーを駆使し、外部機関との連携・共同研究により、人工光合成などのカーボンニュートラルに寄与する本質的な要素科学技術を開発する目的で2022年1月発足しました。グリーン水素製造や二酸化炭素を炭素源として用いた有用物質合成のサイエンスとテクノロジーの研究に取り組むことにより、カーボンバリュー科学技術を開発しています。 「マルチハザード都市防災研究拠点」は2023年8月に発足しました。本拠点では、様々なハザードに関する防災研究者とデータサイエンス研究者の強い連携により、時間的・空間的にハザードが連鎖的に発生し、被害が拡大するマルチハザードに対応した新たな都市防災学を創出・実践し、持続可能でダイバーシティに配慮して誰一人取り残さない安全・安心な社会の構築を目指しています。 「共創プロジェクト」は、本学の教員と企業による共同研究の成果や知見を学内外に発信することにより、新たな価値の創造に寄与することを目的とし、企業等の中期的な研究開発戦略にあった確実な研究成果が期待できる「知の共創」と呼ぶべき研究活動です。2021年度に始動した「花王Kireiな未来共創プロジェクト」では企業と大学がそれぞれの社会的使命およびその役割を認識しつつ、人々の暮らしを豊かにするための革新的な技術開発を推進しています。2022年度には、2つ目の共創プロジェクトとして、「みどりの機能建材研究開発プラットホーム」が清水建設株式会社との共同で始動しました。本プロジェクトでは、環境配慮建築の社会実装に向けた研究開発を推進しています。 総合研究院では、研究センター、研究拠点や研究部門間の壁を越えて連携し研究することで、教員人事の流動性・機動性の強化と社会との繋がりの強化を実現し、活力と求心力に富んだ魅力溢れる研究環境を生かして、次世代の社会を担う創造性豊かで多様性に富んだ多くの優れた人材を輩出するとともに、国際的な分野融合研究のハブとなることを目指しています。そして、東京理科大学ならではの新しい学問の流れと可視化できる研究成果を創出します。東京理科大学研究推進機構総合研究院長西原 寛総合研究院長挨拶

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