「高度なシステムの上に成り立っている都市の防災」というテーマを基軸に、都市文化、都市性能、都市デザインの3研究分野の成果を相互に連携させることによって、都市全体の文化や機能を保ち損なうことなく(Sustainability)、復興(Resilience)できる都市構築を目指す。Research Division for Advanced Disaster Prevention on cities 開国、近代化、経済成長、IT…近代から現代の約150年間で東京・大阪・名古屋を始め日本の各都市は構造・環境面で高度な発展を遂げました。 一方で、濃尾地震(1891年)、関東地震(1923年)、新潟地震(1964年)、兵庫県南部地震(1995年)、東北地方太平洋沖地震(2011年)など、災害はその発展や都市そのものが抱える課題・リスクを大きな犠牲と引き換えに我々に提示し、その度に我々は教訓とし試行錯誤を続けてきました。 しかし近い将来に目を向ければ、首都直下型地震や東南海地震など、我々が積み重ねてきた過去の教訓を遥かに上回る未曾有の大災害のおそれは尽きません。 この事実に対し、「高度なシステムの上に成り立っている都市の防災」というテーマのもと、都市全体の文化や機能を保ち損なうことなく(Sustainability)、復興(Resilience)できるよう都市構築を目指すことを目的とした活動を行っています。 本研究部門に所属する研究者・専門家は、東京理科大学工学部、旧工学部第二部、創域理工学部、国際火災科学研究科の4学部に所属しております。各々の専門分野において一線の研究を重ね、日本建築学会、日本都市計画学会、日本建築史学会など国内の主要学会だけでなく、国外の学会においても広く活動を行い認められています。 この培われた各学会間のつながりを駆使し、各々の専門分野で得られた知見を相互に参照・反映・共有できる環境によって、広範囲を各分野の視点から網羅した学術研究活動が行えることも本部門の研究者・専門家が有する利点であります。 本研究部門が持つ特色は、建築および防災などの都市計画にかかわる各分野の先端的な研究を連携して行う点、そして、江戸から東京に至る400年以上の時間的繋がりが作り上げた文脈における現代都市の課題を総合的に分析し、その成果から都市計画策定の研究に取り組む点の2点が挙げられます。 神楽坂地域および外濠周辺地域を対象とする研究は、世界の都市史の文脈、都市構造においても特徴的な地域であり、国際的な注目を集めうるといえます。 また、大学および当部門による研究成果の提言・反映・発表といった形での社会貢献など、当該研究分野には、官(行政組織)・民(民間営利・非営利組織)双方から期待が寄せられており、そうした社会工学的研究部門であるところに特徴があります。 主な研究対象地域は、東京理科大学のホームグラウンドというべき神楽坂・外濠、周辺地域としています。当部門所属の研究者・専門家は、同地域にて長年地域研究・貢献・交流活動を行っており、厚みのある研究の基盤があります。この神楽坂・外濠周辺地域で得られた成果を下地とし、防災計画・都市計画などのモデルを作成。全国の都市地域へと応用・拡張することによって、先述の都市防災研究を展開していきます。目的今後の展開設立2014年4月1. 高度発展に伴い複雑化した都市環境・都市生活に対して、建築学の各分野の粋を結集し応える方を探る2. 理科大本拠地である外濠・神楽坂地域から、21世紀の大都市としての東京の在り3.未曾有の災害に対しての現代都市の対応のありかた神楽坂・外濠周辺地域における研究・貢献・交流を引き続き継続し、建物構造や防災設備の充実などに始まる都市計画のモデル化を行い、地域計画、計画評価、合意形成の一般化と全国の都市への展開を図る o.taka@rs.tus.ac.jp図2 『外濠-神楽坂 7つのイメージ』、東京理科大学神楽坂地域デザインラボ(2014年4月)図3 『近づくまちとほり』、まちと外濠をバリアフリーのデッキでつなぐ提案、外濠再生構想シンポジウム、東京理科大学神楽坂地域デザインラボ(2014年5月)図1 神楽坂変遷図、『外濠の外』、伊藤裕久教授(2014年4月)表1 研究分野と研究分担者研究部門長工学部建築学科 教授Osamu Takahashi21 研究部門の特徴 学術的および社会的な特色 研究対象地域髙橋 治都市文化、都市性能、都市デザインの3研究分野で構成される総合計画研究。成果を都市計画策定に資する学術的知見として研究対象地域に還元する。先端都市防災研究部門
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