2023-2024_総合研究院パンフレット(和文)
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エンジニアリングの本懐は、「役に立つものを作ること」です。大学発の成果物の社会実装は、論文で知見を公表し、学識者としての論評をすることが主ですが、エンジニアリングにおいては、物として実装し、「見届ける」ことまでやるべきだと考えています。本部門は、そのロールモデルを目指します。Division of Implementation of sustainable technology in society 本部門は、実用性と具現化を強く意識し、論文に留まらず、新しい市場を切り開く新価値を生み出す技術の製品化を目的とする。そのため、下の表に示すように、分担者が持つ要素技術を組み合わせ、外部機関(外部機関参加者は下線)と積極的に連携し、出口としての具体的なアプリケーションを意識した協業的研究開発を行っていく。現時点での外部機関は数機関に留まるが、進捗に合わせて随時参画いただき、形だけでない連携を強め、製品化やベンチャー創業なども行い、大学発の新技術の積極的な社会展開を行っていく。  素早く世界に広がるITや材料・デバイスに比べると、「物」として、特に日常生活に直接関わる技術の統合システムとしての「製品」化は、リスクが高く、コストパフォーマンスも極めて悪い。そのため、一般的には敬遠されがちであるが、大学は社会の公器であるので、「物」という形で社会へ新しいソリューションを提案していく。 表1は、構成員の専門分類と、それらを組み合わせたアプリケーションの具体項目であるが、本部門の一つの核となる「医療福祉」について、具体例と役割を述べる。この分野は主に、①動作解析/センシング(表中の画像/計測、解析)、②動作補助/創出装置(表中の機構・デバイス、制御)、③車両、④実地検証/評価、に分類できる。①では小林、橋本、竹村、 飯田、荒井、 保原、早川、葛西、牛島、黄、吉田、②は和田、小林、橋本、竹村、 飯田、保原、③は和田、林、永野、④は来栖、松元、葛西がそれぞれ専門であり、例えば①では、A.精密な歩行動作解析装置やB.嚥下センサ、②ではC.アシスト装置や義手・義足、③ではD.直観性の良い操縦インタフェースと全方向移動車両装置、などの具体的な成果物を、それぞれの知見を結集して創出していく。以下、具体的に記載する。 Aは小林、竹村、保原が中心となり、歩行時の体の3次元の変位量、及び、3軸周りの回転角度を高精度で抽出するセンサを開発し、吉田、宮下、田畑、黄が、力学モデルと画像解析から体全体の動きとリンクさせ、健常者、非健常者の正確な歩行動作データを蓄積し、診断や施術後の変化などを定量的に示す12技 術画像/信号処理・計測解析・制御ロボティクス・ヒューマノイド目的今後の展開表1 保有技術とアプリケーション設立2023年4月医療福祉· リハビリ機器· 診断機器· 病理検査機器· 福祉車両· 動作補助和田、来栖生活支援アプリケー ション· 動作補助· 見守り· 自動運転· スポーツ林、和田移動体・小林、橋本、竹村、飯田、和田、来栖、松元小林、橋本、竹村、松本、飯田、和田、永野、保原、来栖、松元橋本、竹村、林、松本、荒井、保原、宮下、田畑小林、橋本、竹村、林、松本、和田、永野車両機構・デバイス小林、橋本、竹村、飯田、荒井、保原、早川小林、竹村、牛島、飯田、和田吉田、飯田、荒井橋本、吉田持続社会を実現するための具体的なソリューションを、物を作ることで提供することを目的としています。試作、実証検証、耐久試験、製品化・上市を行い、新規市場を切り開き、本学のロールモデルを目指しますNEDOに応募して大型予算を獲得すること、1新製品の上市/年、1ベンチャー創業/年、特許出願3件/年、を目指します農 業· 動作補助· 自動栽培·収穫· 遺伝子組換え土木・生産・工業· 動作補助· デジタルファブリケーション·実験自動化·リサイクル荒井小林、飯田、荒井小林、竹村、飯田、荒井、保原小林、橋本、荒井竹村、飯田、荒井、保原竹村、飯田、荒井、保原飯田、荒井橋本、吉田、牛島、飯田、荒井吉田、荒井、黄飯田、荒井 hiroshi@kobalab.com資源・エネルギー· バイナリー発電小林荒井牛島、荒井研究部門長工学部機械工学科 教授Hiroshi Kobayashiツールを用意し、実用化、製品化を検討する。来栖、松元が臨床現場においてデータ取得を行う。 Bは橋本が中心となり、日常生活の中で誤嚥の有無を判定し、早期からのリハビリテーションの介入を促すための嚥下センサの開発を進める。現在、ピエゾフィルムを用いて嚥下(飲み込み)時の生体音、筋活動、喉頭挙上を同時に計測できる独自のセンシング技術について研究を進めている。また、小林と共に嚥下メカニズム解明に向けたロボットシミュレータの開発も行っており、そこで得られた知見を活かすことができる。加えて、飯田が持つ世界最先端のソフトロボティクス技術により、生体親和性が高く、装着による違和感が無いセンサデバイスを開発する。以上に述べた医療福祉機器については、来栖、松元が臨床現場において評価実験を行い、実用性を評価する。また、各グループへとフィードバックすることにより、効率よく実用化に向けた開発が進められるようにする。 Cは、小林(図1)、竹村、保原がすでに実用化を進めている。 Dは和田、林、永野が中心となり、障がい者や高齢者の移動を支援する移動体および関連システムの設計・制御に関する研究開発を行う。移動体の動作を実現する電動モータ制御技術、快適で直観性の良い操縦インタフェース、移動体の自己位置認識や経路計画技術、遠隔操縦や自動運転・ナビゲーション技術、などの各要素技術を統合し、全方向移動システム用に開発した独自技術である「アクティブキャスタ」の応用範囲をさらに拡大することで、実用的な移動ロボット技術を活用した車いすやセニアカーなどへの実用化を検討する。 研究開発の進捗に合わせ、仕様の追い込みや優先順位づけ、製品化のロードマップ、新展開などの検討を定期的に行い、1新製品の上市/年、1ベンチャー創業/年、特許出願3件/年、を目標に運営していく。図1  今年度製品化したマッスルスーツExo-Power(左)とSoft-Power(右) 社会実装を第一の目標に メンバーと研究開発内容 目標とする成果小林 宏持続社会を実現する大学発の医療福祉生活支援技術やエネルギー技術を製品化しますサステナブル技術社会実装研究部門

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