総合研究院パンフレット(日本語版)
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 本学に所属する半導体デバイス・機能性材料・分子シミュレーション・情報科学の研究に携わる研究者が集結し、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言(経産省策定)」や「年間1兆個のIoTデバイスを生産するトリリオンセンサ構想(米国)」の実現を目指したアンビエントデバイスに関する研究開発を行う。各グループは互いが積極的に交流し、物性探索、デバイス特性向上、ビッグデータ解析を行う。図1に本研究部門を構成する学内外研究者の相互関係と研究推進のイメージを示す。 突出した素子動作速度を示す単結晶有機半導体超薄膜の作製技術を保有する東京大学 竹谷グループと共同で、さらなるデバイス特性向上を目指し計算・実験の両面から物性探索を行う。東京大学柏キャンパスにある竹谷教授保有の世界的に類を見ない高度な装置が整った最先端設備環境で研究が遂行可能である。具体的には、本テーマに必須である単結晶有機単分子膜形成装置をはじめとし、各種有機無機薄膜形成装置(湿式・乾式両プロセス)、微細加工装置(フォトリソグラフィ、レーザーリソグラフィ、湿式プロセス)、大型スクリーン印刷装置、各種電子顕微鏡、各種分光器、各種電気・機械・光物性評価装置を使用し、有機半導体分子合成からデバイス作製・評価、大規模印刷プロセスに至るまで、一気通貫でデバイスを製造することができる。図1 本研究部門を構成する学内外研究者の相互関係と研究推進のイメージDivision of Ambient Devices Research 2013年米国で、数兆個を超える全てのモノにセンサノードを貼り付け、情報収集し、情報科学を利用することで豊かで安全な社会を実現する「トリリオンセンサ構想」が提案された。現在日本では、物流の超効率化に向けて、2025年までにコンビニの全商品に電子タグを取り付ける「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」(経済産業省)が推進されている。このような貼付型・バラマキ型センサノードは、環境に溶け込むという意味で「アンビエントデバイス」と呼ばれ、ポストスマホとして大きな市場形成が期待されている。アンビエントデバイスは、軽量・柔軟・安価である必要があるため、基板も含めた全物質を有機材料や有機・無機ハイブリッド材料で構成する必要がある。本部門では、アンビエントデバイスの大量普及時代を見据え、部門設置期間中にアンビエントデバイスに関わる材料物性制御・デバイス創製・取得データ解析の研究を実施し、社会実装を目指す。 アンビエントデバイスの応用例として、我々は次世代物流のセンサ付きradio frequency identifier (RFID)タグを想定している。近年急増する大型商業施設、eコマースの拡大、そしてグローバル化による物流サービスの拡大に対して、従来の物流システムの破綻が顕在化し始めているため、次世代に向けた物流の仕組み開発を早急に進める必要がある。輸送形態に関するニーズも多岐に渡り、食品、薬品、精密機器などの品質と価値を損なわない輸送を実現するため、低温やショックフリー環境における物流技術への需要が高まっている。革新的有機半導体デバイスによるセンサ付きRFIDタグを創製し、それを用いた新たな自動データ収集技術が確立されれば、高効率・安全・安心な物流サービスが実現され、社会へのインパクトは極めて大きい。 「低環境負荷かつ低コストの高性能センサノード」を実現するため、構成デバイスの材料物性及び構造を精緻に制御する。センサノードに搭載されるデバイスは目的に応じて異なり、例えば将来の物流に用いるセンサノードには、加速度センサ・温度センサ・RF送受信アンテナ・トランジスタ・メモリ・電源、が必要となる。各デバイスの基板も含め、デバイスを有機物或いは有機・無機ハイブリッド材料で構築することで、低環境負荷のセンサノードを実現する。また、技術の普及には製造コストを無視することは出来ない。従来のセンサノードの1/100の価格(1円/センサノード)を達成するため、低コストの作製プロセスと材料の低コスト化を追求する。目的今後の展開環境に溶け込み、環境にやさしい、スタンドアロン型の革新的有機或いは有機・無機ハイブリッド半導体デバイスによる高感度センサ付きRFIDタグを創製し、それを用いた新たな自動データ収集・分析技術の確立を目指します設置2年目の勝負の年です、デバイス創製から社会実装までの険しい道のりを踏破するには、他部門との連携によるシナジーが不可欠だと考えています部門長理学部第一部応用物理学科 准教授Kentaro Kinoshita東京理科大学における有機或いは有機・無機ハイブリッドデバイスの研究拠点として、物性実験、物性理論、半導体デバイス、有機エレクトロニクス、エネルギー変換等、各分野で活躍している専門家が、学内外を問わず有機的に連携し、物質研究・デバイス応用・社会実装まで、一連の研究開発に取り組みます。設立2020年4月 kkinosita@rs.tus.ac.jp11 部門設立の背景 研究開発の内容 研究開発の体制 外部連携アンビエントデバイスの創製及び抽出されたビッグデータの収集・分析技術の確立木下 健太郎アンビエントデバイス研究部門

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