総合研究院からのお知らせ
ナノ量子情報研究部門研究会 のお知らせ【11/29】
2021年11月04日 Thursday
ナノ量子情報研究部門では、ナノ量子情報研究部門研究会を開催いたします。
日 時:2021年11月29日(月)16 : 30~17:30
場 所:オンライン開催(Zoom)
参加希望の方は、sanaka@rs.tus.ac.jpまでご連絡ください。後日Zoomのアドレスをご案内いたします。
【事業の概要】
ナノ量子情報研究部門において11/29(月)16:30より、本学理学部第一部物理学科の渡部昌平先生に「縮退二準位系スピン系の量子アニーリング(予定)」のタイトルで1時間ほどのご自身の研究紹介の講演をしていただく。理科大と東大グループ関係者で進めている共同研究に関連する勉強会の位置づけであり、一般向けではなく専門的な内容となる。
【講演内容】
“縮退二準位系スピン系の量子アニーリング”
量子アニーリングマシンは組合せ最適化問題に特化した量子計算機である。基本的には次のようなアプローチで最適化問題の解を求める。初期状態として組合せ最適化問題の解の候補全てを量子力学的に等しく重ね合わせた自明な基底状態を用意する。次に、系のハミルトニアンをゆっくり組合せ最適化問題のものに変化させる。すると、状態は断熱定理により問題ハミルトニアンの非自明な基底状態になる。こうすることで、組合せ最適化問題の解を表す状態が自然に得られるというものだ。D-wave systemsが2001年に商用販売しており、現在5000量子ビットを搭載したD-wave advantageという量子アニーリングマシンが発売されている。
量子アニーリングのアプローチには相、転移の次数に関連した計算時間の問題など、いくつかの問題が知られている。これらの問題を抱えた量子アニーリングマシンを利活用するため、正答率がより高いアニーリングのスケジューリングの探索や、アニーリング時間を短くする手法が提案されてきた。われわれは、これらとはまた違う視点として、内部自由度を使うことによる量子アニーリングの性能向上の可能性を探索した。本セミナーでは、これらの結果とその背後にある物理的な性質についてお話ししたい。本セミナーの内容は[SW, Y.Seki, and S.Kawabata, “Enhancing quantum annealing performance by a degenerate two-level system”, Sci. Rep. 10, 146 (2020).]の内容をベースにしたものになります。